ヒューリスティック評価とは。またその方法「ニールセンの10原則」とは。+原則11個目の思考。
ヒューリスティック評価とは、簡単に言うと、UI/UXデザインを専門家の視点でレビュー・評価することです。
ヒューリスティック評価を行うにあたって、代表的なガイドラインである「ニールセンの10原則」というのが非常に大事なので、解説いたします。
ヒューリスティック評価におけるニールセンの10原則とは
UI/UXデザインの分野では、「ユーザーにとって使いやすいインターフェイスとは何か」を判断するための基準が必要です。その代表的な手法の一つがヒューリスティック評価です。ヒューリスティック評価とは、専門家があらかじめ定義された一般原則(ヒューリスティックス)に基づいてユーザーインターフェイスを評価し、問題点を見つけ出す方法を指します。
その中でも、ユーザビリティ研究者ヤコブ・ニールセン(Jakob Nielsen)が提唱した10のユーザビリティ・ヒューリスティックスは、世界的に広く使われている評価基準です。本記事では、この10原則をわかりやすく解説し、なぜ重要なのかを考えていきます。
原則1. システム状態の可視性(Visibility of System Status)
ユーザーは、今システムが何をしているのか常に把握できる必要があります。ロード中であれば進行状況を示すプログレスバーやスピナー、操作後の確認メッセージなどが例です。
理由:状態が見えないと、ユーザーは不安や混乱を感じ、誤操作や離脱につながります。

原則2. システムと現実世界の一致(Match Between System and the Real World)
インターフェイスの言葉やアイコンは、ユーザーの日常的な表現や現実のメタファーに基づくべきです。例えば、ゴミ箱アイコン=削除、フロッピーディスク=保存など。
理由:ユーザーが自然に理解できることで、学習コストを減らし、直感的な操作を可能にします。

原則3. ユーザーの操作自由度(User Control and Freedom)
ユーザーは誤操作をすることがあります。その際に「戻る」「やり直す」などの機能が用意されていると安心です。
例:ブラウザの「戻る」ボタン、キャンセル機能、アンドゥ機能。
理由:誤りを恐れずに試行錯誤できる環境は、探索的な利用を促進します。

原則4. 一貫性と標準(Consistency and Standards)
システム内でのデザインルールや言葉遣いを統一し、業界標準に従うことが重要です。
例:青色の下線付きテキスト=リンク、ハンバーガーメニュー=ナビゲーション。
理由:一貫性がなければユーザーは混乱し、誤解を招きます。

原則5. エラー防止(Error Prevention)
エラーが発生した後に対応するのではなく、そもそもエラーを起こさせない仕組みを優先すべきです。
例:必須項目の入力チェック、確認ダイアログ、無効なボタンのグレーアウト。
理由:エラーはユーザー体験を大きく損なうため、未然に防ぐことが最も効果的です。

原則6. 記憶よりも認知を重視(Recognition Rather Than Recall)
ユーザーが覚えて文字などを入力するのではなく、選択肢から選べるようにするのが望ましいです。
例:ドロップダウンメニュー、検索候補の自動補完。
理由:人間の短期記憶には限界があるため、「思い出させる」のではなく「気づかせる」設計が有効です。

原則7. 柔軟性と効率性(Flexibility and Efficiency of Use)
初心者から熟練者まで幅広いユーザーに対応できる仕組みを用意することが重要です。
例:ショートカットキー、カスタマイズ可能なツールバー。
理由:初心者には分かりやすさ、上級者には効率性を提供できるデザインは長く支持されます。

原則8. 美的で最小限のデザイン(Aesthetic and Minimalist Design)
画面に不要な情報や要素を盛り込みすぎないこと。必要最低限の要素で構成することで、重要な情報が際立ちます。
例:Google検索のトップページ、Apple製品の公式サイト。
理由:情報過多は混乱を招くため、シンプルさがユーザー体験を向上させます。

原則9. ユーザーがエラーを認識・診断・回復できる支援(Help Users Recognize, Diagnose, and Recover from Errors)
エラーメッセージはユーザーに分かりやすい言葉で提示されるべきです。
例:「エラーコード#X002」ではなく「パスワードが短すぎます。8文字以上入力してください」。
理由:問題が何か、どう直せばよいかを明確に示すことで、ストレスを最小化できます。

原則10. ヘルプとドキュメント(Help and Documentation)
理想はヘルプが不要なデザインですが、複雑なシステムではサポート情報が必要です。
例:検索可能なヘルプセンター、チュートリアル、FAQ。
理由:迷ったときにすぐ答えを得られる仕組みが、ユーザーの信頼を支えます。

ヒューリスティック評価の価値
ニールセンの10原則は、単なるチェックリストではなくユーザー中心設計の哲学を反映しています。これらを踏まえてインターフェイスを評価することで、重大な使い勝手の問題を早期に発見できます。実際、ヒューリスティック評価はユーザーテストに比べて低コストかつ迅速に実施でき、開発初期段階での改善に大きな効果を発揮します。
まとめ
ヒューリスティック評価におけるニールセンの10原則は、次の10項目です。
- システム状態の可視性
- システムと現実世界の一致
- 操作の自由度
- 一貫性と標準
- エラー防止
- 記憶より認知
- 柔軟性と効率性
- 美的で最小限のデザイン
- エラー認識と回復支援
- ヘルプとドキュメント
これらを実践することは、単なる「使いやすさ」だけでなく、ユーザーが安心し、信頼を持って利用できる体験へとつながります。デザインに迷ったとき、この10原則に立ち返ることが、プロフェッショナルに不可欠な姿勢なのです。
上記10原則に加えて、11番目の原則を提唱します。
原則11.システム上のキャッシュの適切な保存と適切なクリア
キャッシュは処理速度を高め、快適な操作性を実現しますが、古い情報や不要データが残ると誤操作や混乱の原因となります。さらに、個人情報や認証情報がキャッシュとして残存すると、セキュリティリスクが発生します。そのため、必要なデータのみを安全に保存し、利用後は自動的またはユーザーが明示的にクリアできる仕組みを提供することが重要です。適切なキャッシュ管理は、快適さとセキュリティの両立を支える新しいユーザビリティ原則です。
以上、いかがでしたでしょうか?
ヒューリスティック評価とニールセンの10原則+株式会社GenuineDesign 奥村真理子が提唱する原則11番目の「システム上のキャッシュの適切な保存と適切なクリア」について。
一度、深く考えていただき、UI/UXについて興味を持つ人が増えたら非常に嬉しいです。
株式会社GenuineDesign 奥村真理子